「台所」を通じて想いをつなぐ~台所文化伝承家という働き方|中原麻衣子
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「身体は食べたもので作られる。」
小さな命をおなかに宿したとき、初めての離乳食を作り小さな口に運ぶとき、子どもを産み育てながら日々の食に対する意識が変わり、責任感を覚えるようになったという女性は多いはず。
ただ育児や仕事に追われる中、食への理想と現実のギャップに悩むことも増えるかもしれません。
「健康なカラダづくりの食事は自分のためだけでは続かないですし、何よりおいしくないと続きません。わたしは焼肉もお寿司も大好きなので、制限やストイックすぎる難しい健康法は正直無理です(笑)。おいしく食べて、健康になる。料理法を伝えるだけではなく、母親として、女性としての視点から広く『食』を伝えいきたいです。」
そう語るのは東京都港区を中心に活動する『つながるキッチン』代表の中原麻衣子さん。
毎日理想どおりのご飯が作れなくても大切にしてほしいこと、知っておいてほしいことを伝える今の活動を始め6年が経ちました。
これまで1500人以上の子供たちやその家族を「食」を通じて向き合った経験から屋号を『つながるキッチン』に改めたばかりの中原麻衣子さんに<働き方図鑑>の質問に答えていただきました。
今の働き方をはじめたきっかけ
2011年3月11日の東日本大震災がきっかけで、今の働き方を始めました。
当時、会社員として勤務していましたが、あの震災が起きた時「明日は来るとは限らない」と強く感じたことを今でも覚えています。
そして、家族の生活が豊かになればと趣味の一貫で産休中にとった食関連の資格を、自分の家族だけにとどめず社会に貢献出来たらいいなと思うようになり、突然会社員を卒業することを決めました。
周りにいた心友たちに背中を押され、気が付いたら個人事業主として歩み始めていました。
東日本大震災は、人生に対する価値観が大きく変わった、とても大きな出来事になりました。
とある1日のスケジュール
6:00 起床
6:00-6:20 お弁当づくり(主人と娘)
6:20 主人と娘の朝ごはん
6:50 息子起こす
7:00 息子とわたしの朝ごはん
8:00 洗濯・掃除・洗い物
9:30 仕事へ(Lesson)
17:00 終了
18:00 買い出し後、帰宅
19:00 夕食
21:00 息子寝かしつけ
22:00 娘とおしゃべり
23:00 就寝
▲季節感たっぷりのお弁当
今の生活や働き方で気に入っている事
自分でスケジュールを組めるという点で、会社勤めの頃に比べてQOLがあがったなと感じています。
子育てと仕事を両立する中で、時間と場所が固定される働き方だと難しいことも多々ありますが、今の働き方は曜日に左右されず、自分で優先順位を決めることができる点に大きなメリットを感じます。
クリアしたい課題や問題
やりたいこと、やらなければならないこと、日々タスクが増えていく中で、専門性のある分野については、できるだけアウトソーシングできるようになっていきたいと思っています。
▲教室以外にケータリングのお仕事も。
壁にぶち当たったとき 落ち込んだときの乗り越え方
最大の癒しと最大のリフレッシュはこどもたちとの時間。
なので、気分を切り替えるために、こどもたちとべったり過ごします(笑)
働き方を迷っている女性へのメッセージ
わたしの場合、悩むより行動してしまう派なので、偉そうなことは言えませんが(笑) 「悩んでいる」「迷っている」といっても、実は自分の中には答えがあるはず。
今と違う自分に出逢いたいと思ったら行動してみてください。
想いが自分を動かし、その行動が未来につながるのです。
人生に失敗はないと私は思います。
どんなことも経験した人にしか得られないことがたくさんあり、その経験はあなたに与えられた最大のチャンス。そのチャンスは自分をより豊かにしてくれると信じています。
「失敗は成功の基」、わたしも数えきれないくらい失敗もありました。
けれど、それはトライしなければ得られない失敗です。失敗にさえ感謝です。
飛び込んでみたい環境にまず身を置いてみる、新たなご縁や周りにいる人が変わると自分を取り巻く環境も自ずと変わるかも!?
愛する家族へのメッセージ
いつも応援してくれる主人と子どもたち。
わたしにとって一番大切なのは、もちろん家族。
家族に日々感謝しています。
そして、未来を生きる子どもたちに「ママを見ていて、大人になるってたのしそう!」と夢を持ってもらえるような背中を見せていたいと思っています。
いつもありがとう。そして、これからも宜しくお願いします。
悩むより行動。その原動力は?
ともえ編集部)中原さんといえば、ご主人の出身地・熊本県山都町(やまとちょう)の美しい棚田風景に惚れ込み、休耕棚田の復活と現状維持、安全で美味しい米作りをめざし地元農家と共に「つながるシェア田(棚田のシェア制度)」の普及活動に尽力していることでも知られています。またラ・ロシェル南青山での『熊本復興応援チャリティイベント』なども中原さんの活動を紹介する中で外せないもの。お料理教室を超えた活動も「悩むより行動」だったのでしょうか?
中原さん)
「『つながるシェア田』については、主人と義母と熊本に帰省していた時こたつの中での会話から生まれたアイデアでした。
『棚田を維持するのは本当に大変なのよね~若い担い手がみんな都会へ行ってしまうし、高齢化だし』というところから、『国の重要文化的景観』に認定されているこの景色が未来消えてしまうことはあってはならないと直感的に感じました。
この地域と人に魅了されていたものですから、東京にいながら私に何ができるだろう~と考えてできることからと小さくスタートした次第です。」
ともえ編集部)ラ・ロシェル南青山での『熊本復興応援チャリティイベント』も、もともとシェフとお知り合いということもあったそうですが、思い立ったら即日、すぐアポイントを取り、頭を下げに行ったところ「すごく!おもしろい!!熊本を応援するよ!!」と快諾していただいたとのこと。
「失敗なんてない。今と違う自分に出逢いたいと思ったら行動してみてください。」
中原さんの実体験からのメッセージ、<働き方図鑑>を通じて自分らしい働き方を考えている女性に届きますように!
編集後記
主婦であり母親であり、限られた時間の中で働く女性にとって物理的な制約もあります。
もしかしたら制約を感じることで仕事と家庭の両立に悩む働くママもいるかもしれません。
ただ「家庭を大切にするからこそ仕事がうまくいく。活動の幅も広がる。」
それが時間をかけて育んできた中原さんらしい働き方であると、お話を伺って感じました。
あれこれ「できない理由」を考えるより、よしやってみよう!という中原さんの原動力は家族。
活躍の世界を広げても軸足がしっかりと家庭にあるからこそ、多彩な活動には芯があり、ぶれずにつながっている中原さん。
家事や育児は活躍を制限するものではなく、ママの原動力になり、そしてママになったからこその新しい働き方が実現することだってある、そんな勇気を分けていただきました。
〇プロフィール
中原麻衣子
台所文化伝承家/食育・受験フードアドバイザー。『つながるキッチン』代表。
「身体は食べたもので作られる」を信条に、2012年に食育・料理研究家として事業をスタート。
これまで1,500人以上の子供たちやその家族と食を通じて向き合いながら
料理を教えるのにとどまらない「子供の成長に向き合う姿勢」が大きな支持を集める。
夫の出身地・熊本県山都町(やまとちょう)の美しい棚田風景に惚れ込み、休耕棚田の復活と現状維持、
安全で美味しい米作りをめざし地元農家と共に「オーナー制シェア田」の普及活動にも尽力。
2017年からは、受験生向けの食を見直す事業にも力を入れ、栄養面・美味しさ・やる気を出す仕掛け・
食べて覚える文字通り身につく勉強法など「受験と食」の取組みも好評。
6年間の活動から事業コンセプトを見つめなおし「台所文化伝承家」の肩書きを掲げる。
料理の仕方を教えることではなく、旬の食材で美味しく安心な食事を作り、季節感や感謝の気持ちをもって家族で食卓を囲む…そんな日本の家庭に当たり前にあった文化を伝えていくことを使命とし、親から子〜さらに次の世代、生産地から消費地、「台所」を通じて想いをつなげる活動をしたいと屋号を「つながるキッチン」に改めて、さらに勢力的に活動中。